9月議会質問原稿

議場に林勇作前議員が居ないのは寂しい限りです。改めてご冥福をお祈り申し上げます。
林前議員から文化財の保護に関して遺言を承っておりまして、質問とさせていただきます。
その一つは、中土佐町指定文化財久礼城跡の県指定文化財、そして国指定文化財登録化への取り組みです。久礼城跡は、以前にも質問で触れましたが、県指定文化財は言うに及ばず国指定文化財としての価値のある貴重な中世山城であります。
そこで質問いたします。県指定文化財登録に向けた取り組みの考えはないか。そのための障壁となる事項は何があるのか、あるとすればその解決策は何かお伺いいたします。
私は、先だって大坂夏の陣で一家離散の憂き目に遭った一族柴田外記の子孫に400年目の節目の今年、再会のため宮城県柴田町を訪れ、柴田町の滝口町長や星副議長等と懇談する機会を与えていただき、「樅の木は残った」で有名な船岡城跡にもご案内をいただきました。標高130メートルの山上に本丸のあったその城跡に、桜一千本をはじめアジサイなど四季折々の木々を植樹し、二の丸跡には町民が自ら植えるコミュニティガーデンを整備し、町民の散策や憩いの場として、また、観光資源として活用されておりました。久礼城跡も同様の活用が図られうる資源だと思うところです。所見をお伺いいたします。
次に、四国遍路に関してです。世界遺産登録の動きもありますが、四国遍路が歴史的建造物や伝統芸能等の文化財を「日本遺産」として文化庁が認定した第1弾に選定されたところであり、観光庁は四国遍路は、外国人観光客の広域観光ルートの7ルートの一つに認定しました。「自分と向き合う心の旅、世界でも例を見ない巡礼文化」というストーリーが評価されたという事です。
我が中土佐町には88か所がありませんが、遍路の歴史記録があります、天正19年の元号の入った石碑です。そこでお伺いいたします、町独自に観光資源としてどのように地域活性化に向け取り組む積もりかお伺いいたします。土佐の生んだ世界的ブランドの維新の英雄、坂本龍馬は、失礼ですが、ただ通ったというだけで、地域おこしの資源に活用している例もあります。
添蚯蚓には、遍路墓もあり遍路は確かに中土佐町を通り、ここにその印を刻んだのです。何かしらの思いが室町の時代にその人はあったのです、まさに、「心の旅」のモニュメントです。龍馬が中村に向かう際にこの道を踏み、空海が修業したと伝わる海月庵の遺跡もあります、お遍路の疲れた足を癒す「足湯」として湧出し溢れるがままの温泉の活用も図れば、SEAプロジェクト顧客推進の手だてにもなると思われるところで、7月に高知新聞に焼坂の町道の遍路道の記事も載っていましたが、整備を図り、「遍路の通る道」として英語表記を含めた案内板の設置等行い、他市町村に先駆けた有効活用の手だてについてお伺いいたします。

上ノ加江公民館改築に関して、公民館に支所を併設した内容の828名の署名が集められた陳情書の提出があったところですが、町長としては、この状況に対してどのような構想を持たれておられるのかお伺いをいたします。800有余名という上ノ加江地区有権者をほぼ網羅する署名は結構重いものがあるというふうに思うところであります。

SEAプロジェクト事業について、キーとなる地産外商マネージャーも決定し、いよいよ「奥四万十博」も関係者が事前視察を行うなど具体的な動きが始まりましたが、SEAプロジェクトも重要な観光資源となろうかと思います、期間内に整備が完了し、地域振興で町内GDPの増加に結び付くよう取り組みの前倒しを求めるものであります。

「まち・ひと・しごと創生総合戦略」についてですが、中土佐町の人口目標について設定されるのか、どのように計画されるのかお伺いいたします。将来人口については、国家の政策の基幹要素であります。中土佐町も「消滅可能性自治体」とされていますが、どのような目標設定をされる予定でしょうか。県では、合計特殊出生率を2.27に引き上げ、2060年の県人口を55万7000人とする目標設定を県議会産業振興土木委員会で協議されたとの事です、高知市は県の目標を受け28万人に上方修正し、香南市が3万人という事で子育て支援策の強化策を図ることを目指しているところでもあり、わが町でも具体的な目標設定をすべきだと思うところで町長のお考えをお伺いいたします。

広報誌の在り方についてお伺いいたします。
中土佐町として広報誌の掲載基準、新聞倫理綱領といったような基準というものがあるのでしょうか。私も高知市役所時代に広報職員として勤務した経験がありますが、自治体広報誌は、原則不偏不党です。正確で公正、個人の立場や信条に左右されない紙面づくりが求められますが、中土佐町ではいかがでしょうか。
紙面づくりに一生懸命取り組まれているであろうことは理解できますが、指摘させていただきます。
今回、気になったのは、広報なかとさ7月号、8月号の7月号の2ページ目の記事の中で、長崎新聞から転載という美輪明宏の文章です。「戦争とは政府からの赤紙一枚の命令書で、貴方の愛する家族、つまり父や夫や子供や孫や恋人が必らずむごい殺され方をすると云う事です。しかし、それは貴方達が選挙で選んだ人達が出した命令書なのです」とありますが、煽情的で一方的な思い込みの言葉で、しかも正確ではありません。明らかな間違いもあります。また、「神風」をことさら「かみかぜ」とルビを振っていることであります。そういう読み方もありますが、これは正式には「しんぷう」と読むものです。命名者の大日本帝国海軍第1航空艦隊主席参謀中佐が、昭和19年10月に郷里鳥取県の古剣術道場から採ったものです。ルビを付けるなら正確にすべきです。
次に、8月号2ページですが、「知っていますか?京大有志の会の声明書」という囲み記事があります。京大有志の会とは、どういう組織でしょうか。国や公共団体の正式の組織でなく、どんな団体か構成員はだれか、など不明です。そういう点で、得体の知れない団体を広報誌という公共の出版物に掲載しPRするというのはいかがなものかと思います。その必要性はあるのでしょうか。
この団体ですが、正式には「自由と平和のための京大有志の会」という名称の組織で、「言論への威圧発言、大学への君が代・日の丸の強制等、この間の安倍政権による平和の破壊、学門の愚弄、憲法の蹂躙を止めさせ、新時代の自由と平和を創造する」という目的の組織です。かなり政治的な意味合いの強い、自分たちが正義と主張する団体で、政党や運動団体といった特定イデオロギーを主張されています。内容も、情緒的で、扇動的です。
ところで、日本国憲法は、「日本国民は正当に選挙された国会の代表者を通じて行動する」と定めています。国会で審議されている事に関して批判的見解を持つ事は自由で、それを主張する表現の自由も保障されていますが、それを税金で成り立つ自治体広報誌で行うことは許されるものではありません。自分たちの考え方以外はだめであるというもので、多様性を規範とする民主主義の否定を意味するものであり、これこそ共産主義思想、日本国憲法に基づく議会制民主主義の否定です。
しかも、このページの文章ですが、かなり、政治的要素を帯びていると思います。ジャーナリストの曽根綾子さんは、世界120か国を旅した経験から「無事に帰ってこれたのは、運がよかったのと、絶えず知らない人や組織に用心と敬意を払っていたからでもあるだろう。敵のいない時代も場もない。その敵にどう対処するかを教えない心情的平和など、まず力を持たない」と述べられていますが、まさに、こういう煽情的行為による心理作用は、「閉ざされた言語空間」の危険な状況を生み出すものと言えます。
20ページに「ことばさんぽ」という囲み記事がありますが、「説明に偏見があるということで第3版第29刷から記述が変更されました」と断り書きが載せてありますが、この文章のとおりなら、問題があったので訂正したという事です。それをわざわざ広報誌で取り上げる必要性がどこにあるのでしょうか。公文書にそのような事を載せることの意義は何でしょうか。

社会福祉協議会の地域福祉活動についてお伺いいたします。
社会福祉協議会は、英語表記で、
council of sochil welfare  
です。つまり、共同の利益に対して協議をする場であり、それは保健医療福祉に関する地域の資源を活用していくための相談や協議、council、
別の表現でconferenceであります。コンクリートされた団体ではないというのが本来の定義であります。
そうした前提に立って、高齢化率42%の中土佐町にとって、地域的な課題は、買い物難民や家庭ごみの排出、であり、将来的課題が限界集落としてそこで単身生活が不可能になると言う事態であります。
こうした状況に対処できる社会組織が社会福祉協議会です。社会福祉協議会の果たすべき役割は、地域生活の支援であり、それが地域福祉の推進という事です、そしてその支援の方法は商店や運送会社など地域特性による多様性を持ったものであります。行政機関のように自治法や公務員法に縛られることなく、自由多彩に対応できるという事で、まさに「新しい公共」です。そういう視点に立って、中土佐町で、こうした状況にどのような対応の指導しているのか、また、今後、地域社会を支えるために、地域で暮らしたいという思いの人々をどのように支えていくのか、現在の取り組み状況を踏まえ、お考えをお伺いいたします。

参議院と中土佐町など地方自治の在り方についてお伺いいたします。
改正公職選挙法が7月28日に成立し、参議院議員選挙は高知県と徳島県が合区となりました。
これは、票の下の平等という事で最高裁が違憲判決を行ったために、やむを得ずにこのような形にされたものです。が、これでは人口の多い都会の論理にますます引きずられ、地方の、田舎の声は、届かなくなろうかと思います。「鄙の論理」の否定であり、政治離れも進むところであろうかと思われるところです。
全国知事会は、参議院を「地方の府」として、人口の多寡に関わりなく都道府県の代表として位置付け、議員を選出する仕組みを検討するという決議を行いました。憲法改正に向けた取り組みです。尾ア知事は、「憲法を改正しないと参議院は都道府県の代表にならない」と改憲を視野に入れこの議論に参画すると表明しました。町長、知事の憲法改正に繋がるこの考え方を支持するかお伺いいたします、知事選が11月15日に決定されたところでもあり、知事の支援の立場に立てば、改憲についても一定の見解を持たなければならないところであり、町長の考えをお伺いいたします。
私は、参議院の在り方だけではなく、日本国憲法は、もはや、私達の舞台である地方自治を巡っても、地方財源、福祉事務所や保健所といった基礎自治体として当然のシステムが町村では制度保障されているわけではなく、全体として中央集権体制に置かれた状態にあり、既に日本国憲法の前提条件であるポツダム体制崩壊などで制度疲労に陥っており、国の仕組みを変えていくという視点からも日本国憲法は早急に変える必要があると思うところで、参議院改革が憲法改正に繋がるいい契機となるものと思うところであります。
「自由は土佐の山間より出づ」とは、日本の方向性を提唱した明治の自由民権運動を代表する言葉で、土佐山村に出自を持つ格調高い言葉であります。そういう先駆者に学び、高知から、憲法改正の動きを作り出していきたいものです。

またまた悲しい出来事が起きました。岩手県矢巾町で起きた「いじめ」による自殺事件です。矢巾中2年の村松亮君のご冥福を祈るとともに、中土佐町ではこういう事例の兆候はないかお伺いいたします。
今回の事件は、「生活記録ノート」にいじめの記録があったのに、担任が放置していたことが原因とされています。そして、個人情報の観点からは、どうかと思いますが、加害者の生徒や担任教師等の実名と顔写真がネット上で公開されています。一度、ネットに登場すれば抹消はほぼ不可能です。不名誉な事実が、永遠に更新されていきます。中土佐町ではこういう事態が起きないよう関係者の努力をお願いする次第です。
この事件の背景には、教師集団の特性が課題にあるように思われます。よく言われますが、「お花畑の世界
が教師の世界だと思います、人権や平和が大切という戦後教育のドグマの中にあって、真正面からそれとぶつかる「いじめ」という現象に遭うと教師の能力が問われ、事が表ざたになれば、指導能力等で人事評価がマイナスになるという事で避けたがるということを聞きます。子供の置かれた深刻な状況を見て見ぬふりをしているという状況ではないでしょうか。
「教え子を再び戦場に送るな」と叫び、平和や人権を訴えますが、子供の世界は大変です。子供は孤立しています、親にも言えない状況にあります、一人で悩み、ひとりで対応する、そういう世界です。子供たちにとっての戦場とは、いじめの世界です。そういう状況を見抜き、共に支え合う世界を作り出して行かないと子供達は救われません。いわゆる集団的自衛権を発動しないと子供は守られないのです。そういう点において、「子供の平和を守れ、子供達を再びいじめの世界に送るな」という事に取り組むべきだと考えますが、中土佐町の実態を踏まえ教育長のお考えをお伺いいたします。
「いじめ」はすべて学校現場で起きていますが、「いじめ」という軽いものではなく、実態は、学校という公共施設で起きている「脅迫罪」、「強要罪」、「暴行罪」、そして「殺人罪」という刑法犯罪であるという事も、併せて教育していくべきだと思います。
人権の最大の命題は「命」です。子供の命を奪う事は最大の人権蹂躙です、そういう事態を招く教師や学校は存在そのものに課題があろうかと思います。教育長の決意の程をお伺いいたします。


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プロフィール

佐竹敏彦(さたけとしひこ)

田舎の宝を取り戻す!

昭和26年7月11日生まれ、上ノ加江小中学校、須崎高等学校、高知大学卒業。高知市役所に35年勤務。

高知市社会福祉協議会の職員としての経験やノウハウを活かし生まれ故郷中土佐町の発展を目指す。

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