●9月議会質問原稿

8月28日衝撃のニュースが飛び込んできました。
安倍総理突然の辞任発表。驚きとともに残念という気持ちになりました。潰瘍性大腸炎という難病を持ちながらも、政治家としての立ち居振る舞いを示されただけではなく、日本の歴史で初めて国際社会の中心に立った総理大臣でした。法の支配、自由や民主主義といった価値観を共有する国として生き残れるか、中国の共産主義体制に与するか、混沌とした国際社会のこれからに思いを致すとその存在の大きさに改めて気付かされたところであります。
ともあれ、治療に専念され、三度(みたび)の復活を願ってやみません。8年間ご苦労様でした。感謝の意を表します。
台湾の李登輝元総統が亡くなられました。李登輝さんが来高された折に、講演会を聞く機会があり、そこで、戒厳令下にあった台湾の民主化に坂本龍馬の船中八策を参考にしたと伺いました。日本を大変愛され、日本精神、リッペンチェンシンの復権を熱く語られていました。ご冥福をお祈りいたします。

人権問題に関して質問いたします。
人権には、思想信条、言論表現の自由があることは申すまでもない事です。
川崎市で日本人が外国に対していわゆるヘイトスピーチと判断された表現を行うと罰金が科せられる、川崎市ヘイトスピーチ条例が施行されましたが、法の原則である属地主義や不遡及の原則を逸脱した監視体制を設け、かつ日本国憲法に定める信条や門地などによる差別をしてはならないという法の下の平等や言論表現の自由に抵触しかねない状況が起きています。憂慮すべき事です。

1.人権とめぐみDVD上映
昨年の9月議会でも質問致しましたが、めぐみちゃんDVDの上映に関して伺います。
これは、横田めぐみさんが13歳で北朝鮮に拉致された事件を取り上げたもので、戦後最大級の人権侵害事件で、政府としても重要案件として力を入れている問題です。
残念ながら、再会を夢見ておられた父の横田滋さんが6月5日にその希望がかなわず身罷(みまから)れました、心より哀悼の意を表するものであります。
白金も黄金も玉も何せんに勝れる宝子に及かめやも、と山上憶良は親心を詠み、
親思う心に勝る親心今日のおとずれなんと聞くらん、と吉田松陰は子の親を思う気持ちを残しました。
横田さん親子の心情を思うと言葉もありません。
息子さんは、どうしてこのような酷い人権侵害をし続ける事が出来るのか、イデオロギーに関係なく、この問題を我が事として考えてほしい、と悲痛な叫びを葬儀後の記者会見で述べられています。日本人が外国政府にさらわれ、取り戻せない。何とかしたい。
安倍総理は、「大切な事は日本の気持ちを一つにし北朝鮮に訴えること、国民の気持ちこそ大きな力になる」と言っています。
このDVDは、財務省が拉致被害者を取り戻そうと、学校等で人権啓発事案として、上映を呼び掛けて作成したものです。
その後の中土佐町での上映の状況をお尋ねいたします。どのように上映を進めていくか、この人権啓発映画で人権教育をどのように進めていくのか。教職員でこの問題を協議したことはあるか、どのように取り組んだらいいか論議したことはあるか、なければなぜ行ってないのか、拉致問題は今までとはバージョンの異なる新しい人権問題です。
その原因と対策を図る事が人権問題推進の意味では大事なことです。お伺いいたします。
昭和36年に同対審答申が出され、人権問題が取り組まれてきましたが、ネット上での発言などいまだに人権問題はなくなりません。
感銘を受けた言葉があります。「人の世に熱あれ 人間(じんかん)に光あれ」。水平社宣言の言葉です。
高知市職員として管理職にある者は、人権研修推進員として職員に人権研修を主導する立場にあり、人権問題については、より一層研鑽に努める責務がありました。
拉致事件は様々な視点で提起されていて、横田めぐみさんを取り扱った映画「めぐみへの誓い」もクランクアップしました。
めぐみちゃんの救出運動は、今に生きる我々の人権感覚が問われている問題だと思いますが、いかがでしょうか。

アメリカでは、黒人差別が大問題になっています。この中で、国際連盟の創設を提唱したウイドロー・ウイルソン大統領も黒人差別という事で糾弾されています。
この人と深くかかわったのが、日本です。国際連盟規約制定に当たって、日本国が提案した、人種差別撤廃条項が賛成多数で可決していたのを、突然のルール変更で、全員賛成でないからという事で否決された経緯の人です。人種差別撤廃を唱えたのは、国際社会で日本が最初でした。今の黒人差別問題でやり玉に挙がっていることに何か因縁を感じます。
教育長、この事実を知っていますか。
ちなみに、人種差別の撤廃は第二次大戦を経なければなりませんでした。日本の戦いが、結果として人類平等の社会を作り上げたのです。昭和49年高知県発行の郷土史「雄魂高知県郷土戦史」には、先の戦争の総括として、「日本は物心のすべてを捧げて、政界の民族の自由と独立を勝ち取った」と述べています。
日本最古の歴史書の古事記に、天岩戸神話があります。
スサノオノミコトの行いにお隠れになった天照大神をお出でになるよう八百万の神々が天の安の河原に集い協議したというものですが、これが日本の民主主義の原点であり、皆平等という事を今に伝える物語であります。日本は、昔から、人は言うに及ばず草木に至るまで皆神々でありました。
人権という概念こそ、明治期に日本国にもたらされた西洋概念ですが、言葉こそなくても、日本国はいにしえより、皆神様、平等でした。人権に平等、人権尊重の国でありました。
私は、日本における差別概念の遠因は仏教に由来するのではないかと考えています。
中土佐町人権教育研究協議会の研修で講師から、差別の原因の一つに、法華経普賢菩薩勧発品第28の話を伺ってもいます。

2. 庁舎の国旗掲揚
日本国を象徴するものは、憲法に定める天皇であり、国旗国歌法の日の丸君が代です。
ところで以前に庁舎には国旗が掲げられていたように思いますが、最近、見当たらないような気がいたします。
お尋ねいたします。国旗は掲揚されているのでしょうか。していないとすれば、その理由は何でしょうか。

3.オンライン化
今回の中国武漢発祥のウイルス不況に対する経済支援対策の特別定額給付金支給のマイナンバーによるオンライン方式は惨憺たるもので、中土佐町ではカード登録は8%でオンライン申請は全体の0.3%の9名。全国的にも、そのシステムも結局最終的には手作業の確認という事で世帯数の多い都市部では従事する市町村職員に多大な負担をかける事になりました。
表向きにはデジタル国家化ということですが、実態は明治政府のままだという事がよく分かりました。行政システムが近代化していないという事で、世界の動きから相当遅れています。「入り口だけはオンラインだが、作業はアナログ」と批評されました。
世界はオンラインの時代です。
グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、いわゆるGAFAという四大企業が支配する世界です。
政府はオンライン化の促進の為に、光ファイバーの前倒しという事で令和3年度末までには全世帯で利用を目指す事になりました。マイナンバーカードと銀行口座の連携は勿論の事、健康保険証、運転免許証の一体化も検討ということです。併せて、はんこ社会からの脱却も目指という事です。デジタル社会での国家機構の一環としての役割や可能性が追求されるのです。
新しく自民党総裁になられた菅官房長官もデジタル庁の設置を打ち上げています。
オンライン化は働き方改革にもつながります。
全員一斉に同一職場でいる必要がない事、テレワークでも十分可能、オンライン教育、オンライン診療など、ICT活用による社会の時代、パソコンやスマホでインターネットを利用した産業やサービスの時代です。
この事は、必ずしも都市部が優位ではないという事を意味します、田舎でも世界と勝負できる可能性が大きくなって、ハンディキャップではなくなるという事です。
AIやビッグデータを活用したスーパーシティ構想の実現を目指すスーパーシティ法が成立、ソサエティ5.0です。
5Gがより効果を生みます。役場改革の視点にもなります。
ポストコロナで田舎回帰がデジタル社会に拍車がかかります。オンライン化は、田舎、中山間である我が町にも大きな希望が持てるきっかけともなるものです。
今後の取り組みについてお伺いいたします。
大阪市では、今年8月から令和7年度までに原則すべての行政手続きのオンライン化を進める方針との事です。今年度には、住民票の写しの交付、子供医療費助成資格認定、要介護認定など約200の手続きがオンライン化されるという事です。
議会改革も進みます。大阪市は議会でも、今回のウイルス感染防止の為に議員参集が困難な場合、条例や会議規則の改正でテレビ電話による会議開催は可能という総務省の通知に基づき会議規則を全会一致で改正し、オンライン委員会を可能としました。
これは議会で取り組むべき課題であり、全員協議会でも議会改革として提起され論議されているところですが、これを敷衍すれば、本議会も法律改正に伴う関連条例改正や専決事項承認の議案などで、侃々諤々、甲論乙駁の論議の必要性の薄い議案の場合は、オンライン議会でも十分対応可能だと思います。
ご所見をお伺いいたします。

4.機構改革と上ノ加江振興策、人員配置
上ノ加江の人口は約1300人、大野見約1100人、久礼4300人。
ところで、役場新庁舎整備に伴う機構改革で大野見支所には配属職員13名で、宿日直員も配置されています。
上ノ加江は、支所2名。併設の公民館には2名です。
大野見と上ノ加江の違いは何でしょうか、以前に役場本庁舎からの距離と時間だと回答がありましたが、人口で見ると納得しがたいものがあり、お伺いするものです。上ノ加江の衰退は著しく、令和3年には上ノ加江中学校は休校、久礼中に併合の予定です。
昭和32年に久礼町と対等合併で、その時期の昭和30年の国勢調査では久礼7121人、上ノ加江4625人でしたが、その後は見る見る減少、現在に至っています。江戸時代、上ノ加江の人口が上回る時期もあり、大正時代まではほぼ互角の人口規模でした。
先だって、我が山内地区で役場職員と会合がありました。
その際に、こうしたら役場を説得できて、予算が付くかも分からんき、皆で意見をまとめてみたら、というアドバイスをいただきました。出席者一同、皆、目から鱗でした。中々動いてくれない中で、あきらめムードでしたが、将来に希望が持てる一言でした。
このやり取りから、上ノ加江支所に、上ノ加江地域振興担当の職員を配置し、膝詰め談判で上ノ加江の振興を共に考えてくれる職員の配置を要望するものです。上ノ加江支所は機
構図でも町民環境課の下部機関の扱いです、これでは上ノ加江は軽視されていると言って
も過言ではありません。ご所見をお伺い致します。
8月19日付け高知新聞に「北川村をたつくろう」という記事がありました。仕掛け人のフェイスブックを見ましたが、役場職員が元気でなければ、プロモーター、起業家でなければ地域が寂れるという危機意識から、村長に捲(まく)し立てられ、職員を叱咤激励して、村全体を遊び場にするプロジェクトを立ち上げたという事です。
役場職員の元気度が中土佐の活力です。
町長は、8月23日に行われた新上ノ加江公民館落成式で、「窪添村長の時代に鰤(ぶり)大式網(おおしきあみ)で全国に名を轟かせた。公民館が地域の核として再び輝くことを願っている」と挨拶されました。
機構改革で上ノ加江の振興策をどのように考えておられるか人員配置を含めて町長の希望ある見解をお伺いいたします。

5.機構改革と森林政策、森川海連携
農林課と水産商工課水産係が統合されて農林水産課が新設されます。水産という産業面だけでなく、森と海の連携が図られるようになると大いに期待するものであります。
森は海の恋人という言葉は有名ですが、これは気仙沼市で牡蠣の養殖業を行っている畠山重篤さん達が作り出したキャッチコピーです。豊かな海は川を流れて来る山の養分、ミネラルが作り出すという事が判ったことから、思いついたものだそうです。その山は、杉ヒノキの山ではなく、広葉樹林の山という事です。広葉樹の落ち葉に含まれるフルボ酸が鉄分と結合してできるフルボ酸鉄が、プランクトンの細胞膜を通して栄養となり、そのプランクトンを栄養源として牡蠣や魚が育ち、豊かな海をもたらす、という食物連鎖が、広葉樹の雑木林がつくりだすサイエンスの文学的表現です。
落葉樹の山は水も豊富です。
世界約200か国で水がそのまま飲める国は日本など10か国程度ですが、これも森が豊かな事を意味します。
ところで現実は、かなり違います。90%を占める森林面積の多くは杉ヒノキの山々です。結果、山は荒れ川は衰え、海は海藻も無くなり、いわゆる磯焼けの状態です。
山内の周りの山々も、杉ヒノキの山です。戦後間もない時のエネルギー確保、住宅事情という理由があったとは言え、問題ありきです。
私は、猟友会の会員として、野山を駆けずり回りますが、中土佐町には鳥があまりいません。鳥獣被害を訴える声が多く寄せられます。杉ヒノキで餌となるものがないからです。それだけ山が痩せている証拠でもあります。
中土佐町の森林の杉ヒノキ林と雑木系の割合は何パーセントでしょうか。農林水産課として、山の環境改善にどのように取り組むのか、姿勢をお伺いいたします。

6.休憩所としての椅子、ベンチの設置
 久礼で意見を頂きました。健康づくりに久礼の街中を散歩しているが、座って休める椅子がないが、なんとかならんか、というものでした。
大正町とか、寺町といったところに四カ所ほどほしいとも具体的に提起もされました。
調べてみると、確かに休憩できる物が見当たりません。若い人なら、元気がありますし、場合によっては、そのまま地面に座って憩う事も出来ますが、年取って来ると立ち上がるのが厄介です。
休憩用の椅子やベンチは、高齢者等のくつろぎ等のためだけでなく、久礼に観光に訪れる人の憩いの場の提供にもなり得るもので、経費もそう掛かりません。
高齢者の健康づくりの支援として、観光客の憩いの場の提供として、設置するのがいいと思うところですが、ご所見をお伺いいたします。

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プロフィール

佐竹敏彦(さたけとしひこ)

田舎の宝を取り戻す!

昭和26年7月11日生まれ、上ノ加江小中学校、須崎高等学校、高知大学卒業。高知市役所に35年勤務。

高知市社会福祉協議会の職員としての経験やノウハウを活かし生まれ故郷中土佐町の発展を目指す。

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事務所

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