●令和4年12月議会質問原稿

1.美術館問題
美術館に関してお伺い致します。
プロポーザルで高知市の上田(あげた)建築事務所に決定されたと、10月21日の臨時議会で町長より報告がありました。
今年度基本設計、来年度実施設計、令和6年度竣工というスケジュールだということですが、そのとおりですね、とすると、収蔵品は令和7年度に新美術館に搬入という事でよろしいですか。
町のホームページに新美術館のイメージ写真がありますが、近代的な姿でモダーンな感じです。ですが現在の建物に馴染んでいる私には、何となく違和感を覚えます。なまこ壁の現在のものをベースにしたもので整備できないものでしょうか。
黒潮本陣の建物とマッチするイメージの建物が相乗効果を生み、観光資源としても映えるのではないかと思うところです。

 

2.山内地区の備蓄倉庫兼避難所
山内地区の通称島の宮の北に整備予定の備蓄倉庫兼避難所ですが、現在、土地造成中で日々形が表れてきて、住民の期待も高まってきています。
想定規模や内容、駐車スペース、今後のスケジュールをお尋ねいたします。
住民には、不安な点があります。いろいろ相談を受けました。
既にご承知のところですが、そこに行く町道のちょうど島の宮様の付近の土地が低く、いざ避難という段階では、なかなか通れません。また、避難しても一帯が水没して、しばらく陸の孤島になります。
迂回路の整備ができないものか、お伺いいたします。
町道からの入り口は、現状では大変狭い状況です。往々にして、避難してくる人は、神経的に高ぶっている状態です。とにかく急いで逃げたい、そういう心理状態のときに、狭隘な道幅では、脱輪や脇の田んぼに転落という事も十分に想定されるところであります。
道路を広げるお考えはないかいお伺いいたします。
併せて、町道との間の田んぼを駐車場として整備していくお考えはないかお伺いいたします。

 

3.南部甕男男爵没後100周年
日本が世界に大きく羽ばたくきっかけとなった明治維新に、土佐では坂本龍馬を始めとする幾多の人材が輩出されました。
が、我が町からは、歴史上名の残る人物は大野見出身の南部甕男男爵以外おりません。
歴史が好きな者にとって、血湧き肉躍る時代は戦国時代と明治維新ですが、南部甕男男爵はその明治維新に、我が身を捨てて、近代日本の育成に尽力された方であります。最後は現在の最高裁判所長官に当たる大審院院長や枢密院顧問も務められました。郷土の誇りです。
その南部男爵がちょうど来年令和5年に日本没後百周年を迎えます。
折しもNHKの朝ドラで、佐川出身の牧野富太郎が主人公の「らんまん」が放映されます。土佐が脚光を浴びる時期です。同じ時代に生まれた若者たちの行跡に光が当たります。
南部男爵にゆかりのある人達によって、南部男爵の事績を顕彰しようという動きが出て来ています。教育長、町としてもこの動きに応え、南部甕男男爵没後100周年事業に取り組むべきではないかと思うところですがいかがでしょうか。予算化はいかがでしょうか。
南部男爵は、弘化2年(1842)年に生まれ大正12年9月19日に亡くなりました。
「堂々たる神州、戎狄の辱めを受け古より伝はれる大和魂も既に絶えなんと帝は深く嘆き玉ふ」と始まる土佐勤王党盟約文に82番目に南部展衛忠成と署名、文久2年に脱藩しました。奇しくも9番目に署名している坂本龍馬と同じ年に脱藩しています。
この坂本龍馬は、脱藩に際し道を歩いただけの梼原町や、わずか3年しか関わりのない長崎市で、龍馬のオンパレードです。牧野富太郎と中土佐町の関りは不明ですが、南部男爵と東京で会っている可能性は十分に考えられます。ぜひともそういう観点で対応をよろしくお願いいたします。

 

4.デジタル化の取り組み
町としてマイナンバー化で何に取り組むかお伺いいたします。
行政報告でマイナンバーカード交付率60.15%と報告されたところで、マイナンバーカードの活用方法について公共交通の無料バス事業と連携した全国初のモデル事業を来年夏以降に実証実験の予定だと答弁されたところです。
東洋町では、住民票や印鑑証明、課税証明をスマホで請求できるサービスを導入するという事ですが、町として、ほかにどのようなサービスに取り組むお積もりでしょうか、お伺いいたします。
マイナンバー制度は、税と社会保障の一体化というのが当初の目的だったように記憶しています。政府は、マイナンバーカードを2024年度までに健康保険証や運転免許証と一体化するという事を発表しました。
マイナンバーカードはデジタル化のパスポートです。
デジタル化の効果の一つに、一箇所の窓口で職員が必要事項を聴き取るだけで全てが完結する、いわゆる「書かない窓口」化があります。高知県知事だった尾崎正直内閣府デジタル担当政務官が取り組んでいるものです。ワンストップサービスです、さらには24時間受け付けるノンストップサービスも可能です。行政サービスが格段に飛躍するところです。
これがデジタル化で可能です。
いろいろデジタル化の取り組みができるというふうに思いますが、町としてはマイナンバーというデジタル資源で何に取り組むのかお伺いいたします。
2025年度までに、ガバメントクラウドを活用した地方公共団体情報標準準拠システムへの移行を行うということで、デジタル基盤整備などが進められていきます。中土佐町での取り組みはいかがでしょうか。
リングローと関連した取り組みはどうでしょうか、お伺いいたします。
旧上ノ加江中学校校舎を活用してIT拠点事業化が推進されるようになりますが、その後の展開についてお伺いいたします。町としてもデジタル化の取り組みが一気呵成に進んでいくところだと大いに期待するところであります。
リングロー株式会社と包括連携協定締結後のデジタルトランスフォメーションいわゆるDX化の取り組みについてお伺いいたします。リングロー株式会社進出に合わせて、上ノ加江でデジタル会社の設立を目指すあるいは促して、デジタル化推進に取り組んではいかがでしょうか。

 

5.エネルギー自給化と地方自治
町長には町民の生命や財産を守る地方自治の法令上の責務があります。
中土佐町としてのエネルギーや電力を何で取得されるか。
私達の生活の基本となるこの問題に何を以て対処されますか、お伺い致します。
当然の事ながら、一町村の事柄ではありません。ですが、町村議会議員としても自分たちのまちの電力やエネルギーはどのようにして確保していくのかは重要な事です。
国がやってくれるからという事で、他人事で見て来ているのが私達の今の姿です。
町長は、昨日の高橋議員に対する答弁で、電力料金値上げに関して国全体の問題だという趣旨の答弁をされましたが、生活者としてみた場合は、身近な自分たち自身、私たち自身の問題になります。つまりは、地方行政の問題でもあります。
カーボンニュートラルが言われていますが、ウクライナ戦争で、言い出しっぺの欧米はなりふり構わず、石油石炭という化石燃料による電力確保にシフト化し、原子力発電を再開、脱炭素社会からの脱却、中断政策をとりました。
電気料金も、外国に比べて割高となって電力料金はFIT法による太陽光発電などの価格買い取り制度でさらに加速化、経済界は言うに及ばず、家庭にも大打撃となっています。
来年四月から四国電力の料金が平均28%値上げ予定で、主因は原油高、エネルギー源の高騰によるものですが、これが拍車を掛けています。
太陽光発電がもてはやされていますが、太陽光発電パネルは鉛やカドミウム、ヒ素、セレンという重金属でできていて廃棄物としての処理には、放射性廃棄物処理に負けず劣らずの状態です。太陽光発電パネル償却期間20年という事ですが、耐用年数の来た施設の処理方法をめぐっていずれ核廃棄物の処理に劣らぬ大きな社会問題になります。
また、地球温暖化防止の重要な要素である森林資源を伐採して設置するという本末転倒の事が行われているところで、はげ山にして土砂災害や往々にして急斜面設置で崩落の危険性が指摘されているところです。設置場所を中国資本が買い上げ、山口県や大阪府などで政治問題ともなっています。
火災の際の消火活動にも重大な問題を秘めています。太陽が輝いている限り電力を出し続けるという事で、感電の危険性が指摘されています。
最近では、パネルの供給元が人権問題で問われている中国新疆ウイグル自治区の製品という事で、世界的にも問題視されています。
いずれにしても、太陽光発電は自然にやさしいと言われる割には問題山積であり、再生エネルギーとしては疑問が残るところです
町として太陽光発電の取り組みはいかがお考えかお伺いいたします。
電源やエネルギー問題については、特定団体の意向やイデオロギーにそぐわない考えを拒絶していく動きがあります。
原子力発電もその一つです。原発立地を拒絶させる運動を地域で起こす、結果、原発を受け入れる地域がないという状況ともなります。で、電力やエネルギーの供給源がどこにもない、町民には電力もエネルギーもない、住民生活が守れない、これでいいのでしょうか。
国はこうした状況下で、脱炭素発電所の新設、GX実行会議で原発政策を転換し、小型モジュール炉など次世代原子炉に向けて動き始めました。今、放射能などの廃棄物がほとんど出ない核融合による発電施設の開発も進められています。
現段階では最高のカーボンニュートラルの主役、エンジンです。
地方政治といえども、国を視野に見据えた政治が必要です。
エネルギーや電力確保は、自分たちの健康や生命の危機につながる喫緊の課題です。
そういう点で、電力問題は、我々の生活に直結する問題であり、まさに地方自治の問題でもあります。
木質バイオマス発電に取り組みについて、成功すれば、雇用促進や地域経済の活性化、地産地消という森林資源を活用した持続可能な開発目標いわゆるSDGsのモデルともなります。
自治体の長として、中土佐町民の安心安全な生活を保障するために、電力やエネルギーといった生活の基礎資源をどのように確保していくか、共に考えていく事が、地に足の着いた地方自治を作るうえで重要ではないかと思うところですが、いかがお考えでしょうか。

 

6.こころの教育、宗教教育
こころの教育、宗教教育についてお伺いいたします。
宗教教育と聞いて、おやっと思うのではないかと想像しながら質問いたします。
最初にお断りしておきますが、質問趣旨は特定宗教を云々するものではありません。
日本国憲法第20条、教育基本法第15条は承知しています。
ですが、宗教教育の重要性を、統一教会問題で強く感じたからであります。宗教が絡んで、近年大きな社会問題となりましたのは、オーム真理教事件です。この事件は、高学歴の優秀な若者たちが関り、サリンという最も毒性の強い化学製品を使いテロ行為という犯罪を起こした事で、衝撃的でした。
統一教会問題も政権政党との関りがマスコミ報道で強調されていますが、野党にも広くはびこり、問題の大きさが改めて浮き彫りにされたところです。
ですが、事の発端は、安倍総理暗殺に至る犯人の動機が、母親の新興宗教へののめり込みで家庭破壊をもたらした恨みというもので、霊感商法とともに高学歴の母親の事が問題とされました。
高学歴の者にはサイエンスで合理的に物事を考える、そうした能力を教育されているとみなされ勝ちでしたが、こころの隙間に空いたところに、ぽっかりと宗教ドグマが入り込みそれに支配される、いわゆるマインドコントロールに陥るというものです。これらの根本原因に戦後教育の基本である唯物論があるのではないかと思うところで、それとは対極にある人間教育、こころの教育が重要ではないかと思うものであります。こころの教育には、宗教教育が入らざるを得ません。
9月議会で、教育長は自分の体験、小さいころからひとが亡くなれば仏様になる、亡くなった方には尊厳をもって対応してきた、と語られました。まさに、宗教、宗教のこころ、宗教概念です。
そういうこころを教えることが、宗教教育であります。私は、祖母から、お天道さまに背を向けた人生を歩んだらいかん、悪いことをすると罰が当たる、あるいは悪いことをして死んだら閻魔様に地獄に落とされる、などと教えられました。
今の教育は、唯物論で合理的機械的な思考を訓練しますが、人としてのこころを大事にしない、怖いもの知らずの、今だけ金だけ自分だけという事に、端的にあらわされる刹那主義に陥っているように思えてなりません。その結果が、人と人との繋がりを失い、自分だけの世界に閉じこもる事となり、社会性を失い、孤立化する、そうした状況にあるのではないかと思います。
せんだって、70代の女性と話す事がありましたが、私たちの小さい頃は、醤油が切れたき、味噌が切れたき、という事で隣りから少し分けてもらうとか、という繋がりがあったね、と懐かしむ風景を思い出しながら話してくれました。映画「夕日丘の三丁目」の世界です。
そこにはこころがありました。
そうしたこころの問題を教えることが、自分を見つめ直し、悲惨な宗教に絡む問題の解決策にもなるところではないかと思います。
教育として、こころを取り戻す、日本を取り戻す教育が大事ではないかと思うところですが、教育長にお伺いいたします。
山本有二衆院議員の国政報告会に出席する機会がありました。
挨拶の中で、「寒潭は月を照らさず疎竹は風を留めず」という言葉を引用されてエピソードを話されました。出典は中国明王朝の時代の「菜根譚」です。
菜根譚は、戦前の陸軍士官学校の教科書にも載っていたということで、15歳から始まる子供達の軍人を育成する学校ですが、組織の在り方論からは必読書であったという事です。
山本代議士は、菜根譚を解説した自らの著書に、「現代における菜根譚の役割を改めて問いたい。戦前の中学生が人間の本質や欲望の在り方を学び、社会や国家論を展開する。これに比較すると、今は全くそうした機会に欠けている。現代社会の心理的病巣であろうか」と結んでいます。旧制高知高校の伝統を引き継いだ大学で、学生時代、国家論や哲学など培われてきた伝統を先輩たちから教えられて来たものです。戦前教育には、何がしらの威厳や人としての風格がありました。
江戸時代にはもっとも政教分離が進んでいたとも言われています。
改めて思うところですが、私たちの教育は、政教分離という名の下に、人として大事なこころの教育、宗教教育をおざなりにされて来たのではないでしょうか。教育の原点に立ち返り、見直すべき時期にあるのではないかと思うところですが、いかがでしょうか。


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プロフィール

佐竹敏彦(さたけとしひこ)

田舎の宝を取り戻す!

昭和26年7月11日生まれ、上ノ加江小中学校、須崎高等学校、高知大学卒業。高知市役所に35年勤務。

高知市社会福祉協議会の職員としての経験やノウハウを活かし生まれ故郷中土佐町の発展を目指す。

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