●令和4年9月議会質問原稿

1. 安倍元総理国葬の儀に対する町の対応
安倍晋三前総理が7月8日凶弾に倒れ、殉職されました。
棺を蓋(おお)いて事定まれり、という諺がありますが、失って初めて判る安倍総理の存在の大きさです。
安倍総理は日本を取り戻す、憲法改正を訴え続けました。
平和は唱えるだけでは決して手にする事はできない、白昼に起きた事件は、平和の脆さがもろに見せ付けられました。安全は当たり前という思いの日本人に、軍事だけでなく治安を含め日本の安全保障の欠陥を安倍総理は自らの命を犠牲にして、その虚構性を私達に教えてくれたと思います。
テロリストに暗殺されて、すぐにこの言葉が思い出されました。
「天に意思がある。としか、この若者の場合、おもえない。天がこの国の混乱を収拾するために、この若者を地上にくだし、その使命がおわったとき、惜しげもなく天に召しかえした」。司馬遼太郎の「竜馬がゆく」の最後を飾る、著者の龍馬という存在の歴史的評価です。安倍総理にも、この言葉がふさわしいと思います。
吉田松陰は、「今日死を決するの安心は四時の順環に於いて得るところあり」という言葉を残され、たくさんの種を蒔かれましたが、心酔されていた安倍総理も同様に蒔いた種がたくさんあります、いつぞやきっと花開くことだろうと思います。
安倍総理の功績は世界が認めるところ、日本だけでなく世界の損失です。
国連安保理をはじめローマ教皇や米英など約260の国や地域、国際機関から1700以上の弔慰が届けられ、世界中の方々が哀悼の意を表されました。27日には国葬の儀も行われます。
政府は自治体に国葬の弔意は求めないという事ですが、ならば、自治体独自の見解や判断で行えという事で、まさに地方自治の真髄が問われているところであります。
国葬には、法的根拠がないとマスコミや同調する政党が主張されますが、法的根拠がなければ、国会で法律を制定すべきだと思います。国会議員は法律を作る立場にあります、責務を全うし、国民の負託に応えるべきです。いたずらに不備を指摘して騒ぐよりも、議員としての立場をわきまえ、行動を慎まれてはいかがかと思うところです。
今回の事件は選挙の最中に襲われたテロであり、民主主義に対する重大な挑戦であります。国葬の儀は、テロに屈しないという我々の断固たる意思表示であります。
中土佐町はどう対応するか町長にお伺いいたします。
学校現場でも、校舎に半旗を掲揚する事を通じて、教育基本法の目的である命の尊さを学ぶことともなり、こころの教育としても大切なことではないかと思います。教育長としてのお考えをお伺いいたします。

 

2.町財政の健全性是非
町予算が逼迫しているかの如く、近隣市町村と比較して最悪と批判する向きもありますが、中土佐町の財政運営は健全性についてお伺いいたします。
町の財政運営に関する予算は様々な要求を受けて組まれます。議員に要望をされる事もその一つです。逆説的に言えば、そういう様々な住民ニーズに応じることなく行政サービスを減らせば、財政は黒字化されるという事でもあります。
地方財政は、地方財政法に基づく運用される制度となっており、常にどのような状態か、財政健全化法に定める健全化判断比率、実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率に基づき、県や国のチエックが入ります。
以前に借金地獄という評価をする人がいましたが、仮にそのように事態に至るとすれば、それ自体が問題行為の結果という事であります。あるいは違反行為に手を染めているという事にもなりかねない現行制度ではありえない事です。
財政指標は財政状況の目安であり、貸借対照表で財務状況が判ります。平成30年度で、資産426億3616万円、負債137億6575万円、資産に対する負債の割合は32.3%です。近隣自治体や類似自治体と比較しても遜色ない比率ではないかと思います。
そのうえで、マクロ経済的に見て、中土佐町の有効需要の創出や経済成長の是非という点で論議すべきだと思うところですが、自己採点としていかがお考えかお伺いいたします。
国の財政は、貸借対照表で資産と負債を一般会計と特別会計、日本銀行を連結してみた場合、借金1000兆円の半分は日銀が保有していて、しかも日銀から国庫納入金で政府に全て返納され、残りの500兆円は政府の金融資産600兆円で賄えます。日銀を除いた負債は約400兆円で、先進国と比べて遜色ないレベルです。
国には、通貨としての日本銀行券の発行権や税金の徴税権といういわば隠し財源があります。その上に、対外純資産360兆円の世界一の債権国家です。
今の日本のデフレ経済の原因は、需要と供給の関係で言うと、需要不足状態であり、需要を回復するためには、積極的に財政投資を行うべき状況にあります。
1000兆円超の赤字国家という触れ込みは、増税を求める財務省の思惑であり、それに同調するマスコミの報道です。
資産と負債という貸借対照表を見ずに、為にする批判に与する必要はないと思うところです。日本の国は現在のシステムでは潰れることはありません、むしろ、諸外国のように財政法第4条の赤字国債発行の規定を削除して積極財政を展開すべきと考えますが、自治体財政と国財政の関について、それぞれどのように見ていったらいいのかお伺いを致します。

 

3. 上ノ加江地区災害
上ノ加江地区を2年続いて襲った災害対応についてお伺い致します。
昨年9月17日の際は100年に一度災害という事でしたが今年7月4日の災害はそれを上回るものでした。ようやっと復旧作業が済んだという矢先の罹災です。諦めとも怒りとも、情けないやら、どこにもこの感情がぶつけられぬ悶々とした気持ちであります。
自然相手の起きてしまった事は致し方ない事ではありますが、2年連続の被害対策は大変です。
そうやっと一部負担金を返せたかと思えば、この状況です。
そこでお尋ね致します。
今回昨年に続いて被害にあった方々に見舞金や一部負担金を免除する事が出来ないものかです検討して頂きたいと思うところですが、町長の英断を期待しつつお伺い致します。

 

4. 「国民年金」額の減額問題、生活保護制度、国保制度
「国民年金」いわゆる老齢基礎年金の額が下がりました。月額6万4000円台ではないかと思います。
これで税金や介護保険料、医療費などを支払い、生活をしなければなりません。ほかに収入がなければ生活は大変です。
この年金受給額が減額される原因は何かお尋ねいたします。通常、物価水準の高騰に連動するのが常識的な考えだと思うところです。
「国民年金」制度は自治事務でしょうか、法定受託事務でしょうか、お伺いいたします。
自治事務の場合ならば減額調整は可能でしょうか。
法定受諾事務として国民年金制度は、地方自治体として、制度設計ができないところでもどかしくもあります、自治事務なら市町村で支給金額が調整できると思うところです。
最近、年金額よりも生活保護費のほうが支給金額が大きい、という声を耳に致します。
高齢者特に70歳の段階で、一人当たりの「国民年金」額と生活保護費、生活扶助と住宅扶助はそれぞれいくらでしょうか。
一部に、現行の社会福祉制度、社会保障制度は制度破綻しているという声もいただいているところです。
生活保護制度の実務にケースワーカーとして経験した立場の者として、生活保護制度は最後のセーフティネットとして困窮世帯には安心安全を保障する制度であり、権利でありますが、その一方で、納税者の立場からは、一部の人たちの日常生活の勤労者とは違和感のある生活態度から制度そのものに対する批判非難があるのも承知しています。が、やむを得ずして生活保護を受給する人々にとっては、命の綱でもあります。
ただ、戦後間もない昭和21年に制度ができて以来、微調整はありましたが、全体として社会福祉制度は制度疲労を起こしている状況にあるともいえます。
国保制度についても8年後の2030年に市町村単位の保険料徴収制度が県単位に変更となります。これによって中土佐町も現行保険料から21000円ほど値上がりします。町としての同意理由は何かお伺いいたします。
これら制度が設計された当時は、ピラミッド型人口構成で生産年齢人口が大部分を占めていました。現在では、逆転状況を呈してきています。制度に問題が生じているのは明らかです。
こうした中での社会保障制度です。法定受託事務とはいえ、国に制度変更を提起する時期に来ているのではないかと思うところです、町長の所見をお伺いいたします。

 

5.農の安全保障
日本の食料自給率は38%であり、先進7か国いわゆるG7でも最低です。次に低いイタリアでも60%です。また、世界172か国中128位という事で、日本の自給率がいかに低いかが良くわかります。
日本の農業は、自動車産業の推進のための犠牲にされていると言われていますが、アメリカの穀物輸出のための貿易自由化の餌食になりました。
ここに来て、ウクライナ戦争で、食糧危機問題が改めてクローズアップされました。
最近驚くべき事実を知りました。
スイスは、山岳地帯で農業には不向きの地域ですが、食糧安定化のための、1996年に憲法を改正して、食料安全保障の条項を追加、国の政策の中枢に位置付けました、スイス連邦憲法第104条です。農業生産基盤特に農地の保全や地域の条件に適合し自然資源を効率的に活用した持続可能な生産方法、農業生産者に対する直接支払制度による耕作地維持支援などが盛り込まれています。
国土の60%が不毛の砂漠というイスラエルでも、食糧自給率は90%を超えているというデータもあります。
日本の農地の土壌成分は、ウクライナの穀倉地帯に次いで二番目の優良地だという事ですが、今や消滅可能性の衰退産業です。
日本の実態が、田舎の、農村の疲弊を生んでいる大きな原因でもあります。
食料問題は、軍事やエネルギーを併せて三大安全保障といわれています。
農業の復権は今がチャンスです。
日本の農業は、他国に比べ補助金漬けという事をよく言われて来ましたが、2013年の農業所得に占める補助金の割合をデータで比較すると、日本が30.2%であるのに対して、スイス104.8%、フランス94.7%、イギリス90.5%、ドイツ69.7%、アメリカ35.2%という数値になっています。補助率が高いとは言えません。貿易自由化の名の下に日本農業がターゲットにされました。
今、日本農業の再生可能政策では、資源循環型農業が言われています。高度な土壌を生かし、食物連鎖を活用した有機農業などもその事例で、生産者から消費者に安心安全の農業生産物を提供するシステムで農業を再生するというものです、それにはネットワーク化のポイントであり、行政の役割が重要になってきます。システムづくりに行政の機能が欠かせないのです。農業の復活で町の再生も可能かと思いますが、いかがお考えかお伺いを致します。
憲法に農業を食の安全保障として条項に定められれば、将来性に明るい展望がより一層開けてまいります。
これは憲法改正にかかる政治マターの問題です。憲法改正気運が盛り上がっている今日、大いに論議すべき事項だと思うところで、憲法に農業の安全保障条項を盛り込むようにしかるべき働きかけをお願いしたいところですが、いかがでしょうか。

 

6.エネルギー自給化と地方自治
中土佐町としてのエネルギーや電力を何で取得されますか。
町長には町民の生命や財政を守る地方自治の法令上の責務があります。
私達の生活の基本となるこの問題に何を以て対処されますか、お伺い致します。
当然の事ながら、一町村の事柄ではありません。ですが、町村議会議員としても自分たちのまちの電力やエネルギーはどのようにして確保していくのかは重要な事です。
国がやってくれるからという事で、他人事で見て来ているのが私達の今の姿です。
その中で、電源やエネルギー問題についてその基本的な姿勢を追求してそのグループの意向やイデオロギーにそぐわない者を拒絶していく動きがあります。
原子力発電もその一つです。原発立地を拒絶させる運動を地域で起こす、結果、日本国で原発を受け入れる地域がないという状況ともなります。で、日本国全体で電力やエネルギーの供給源がどこにもない、日本国には電力もエネルギーもない、住民生活が守れない、これでいいのでしょうか。
日本が戦争に敗れた原因を、端的に言い表された「日本は進歩というものを軽んじすぎた、私的な潔癖や徳義にこだわって本当の進歩を忘れていた」という言葉を思い出します。
地方行政といえども、日本国を視野に見据えた政治が必要です。
世界的にもウクライナ戦争で欧米は石油石炭という化石燃料による電力確保にシフト化し、インドネシアなどは原子力発電を再開しました。脱炭素社会からの脱却、中断政策をとりました。この夏、電力不足から節電を政府が呼びかけましたが、異常気象による熱中症対策などからエアコンはフル活動です。この現象は今停止させられている原子力発電所を稼働すれば済む話です。さらに外国に比べて割高となって電力料金はFIT法による太陽光発電などの価格買い取り制度でさらに加速化しています。
ロシアは、日本のこの日本の電力エネルギー源の脆弱な足元を見て、サハリンの石油天然ガス事業でゆさぶりを掛けて来ています。
電力確保は自分たちの健康や生命の危機につながる喫緊の課題です、そういう点で、電力問題は、我々の生活に直結する問題であり、まさに地方自治の問題でもあります。
自治体の長として、中土佐町民の安心安全な生活を保障するために電力やエネルギーといった生活の基礎資源をどのように確保していくか説明していく事が基本的な事ではないかと思うところですが、いかがお考えでしょうか。

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プロフィール

佐竹敏彦(さたけとしひこ)

田舎の宝を取り戻す!

昭和26年7月11日生まれ、上ノ加江小中学校、須崎高等学校、高知大学卒業。高知市役所に35年勤務。

高知市社会福祉協議会の職員としての経験やノウハウを活かし生まれ故郷中土佐町の発展を目指す。

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